第三章 十年の月日
千鶴は同性愛に偏見を持っていない事を知っていたし、真佐海が周助を好きだという事は、話す前から気づいていたようだった。
そこで千鶴に再度真佐海と周助の関係を全部話した上で、周助や周りの人たちに真佐海は千鶴と付き合っているという事にしていた。
それを言い出したのは真佐海ではなく千鶴だった。
以前はなぜそこまで自分に協力してくれるのかわからなくて気がかりだったが、やっとそれが解けた。
そしてこんなにも弱い自分が情けなくなった。
気がつくといつも泣いてばかりだと思う。
正直、もう一緒に暮らすのは限界だった。
微かな期待を抱いてもそれは叶わないし、もう一人で過ごすのは嫌だった。
一度人の温もりを知った体は、もう一度それを求めている。
誰かに傍にいて欲しかった。
体だけでなく、心も預けられるような相手に。