第二章 波乱の幕開け
涙を流したまま自分の部屋に駆け戻ると、真佐海はドアに背を預けるように座り込んで思い切り泣いた。
一生、こんな関係が続くのはありえるはずがなく、隠し通せても二年か三年が限度だと、解かっていた。
それでも周助と一緒にいたいと思っていた。
それなのに、たった四ヶ月で終わってしまった。
同性愛が認められていないのも、近親相姦になるという事も、そしていずれ別れを告げられる日が来るというのも解かっていた。
否、解かっているつもりだった。
ただの兄弟ではなく、少しだが血の繋がった兄弟と言う事が、時間が経つにつれて真佐海に重く圧し掛かる。
そのことを、理解しているのに感情が抑えきれず、どうにもならない。
涙を止めたいのに、止められない。
人一倍独占欲が強いという事を知っている真佐海は、こうなる事を恐れていた。
だから微かに残る理性で、周助と体を合わせる事を避けていた。
本当はしたいのに、この日が来るのが怖かった。
これが夢であってほしい、明日になればいつも通りの生活が、周助の言った事が嘘になっていれば、否、いっそ、周助と付き合う前に戻ればいいと何度も普段は信じてもいない神に願った。