バイト
オレが目を覚ますと、体は綺麗に洗われていて、尚吾さんに寄りかかるようにして湯船に浸かっていた。
「どうだった?」
「気持ちよかった・・・」
顔が真っ赤になっているのを隠すために、顔の半分まで湯に浸かる。
「風呂から上がったら夕食にしようか。立てる?」
二、三度首を横に振ると、尚吾さんは苦笑いしながらオレを抱き上げ、寝室のベッドに下ろした。
「服はそれを着てくれ。キッチンにいるから着替えたらおいで」
尚吾さんはバスローブを着たまま、着替えずに寝室から出て行った。
渡されたスウェットとTシャツはオレのサイズを知っているかのようにピッタリだった。
それを着て、リビングに行くと、テーブルの上には暫く食べていなかった家庭料理が何品か並んでいた。
「すごい・・・」
「ほとんどはここの家政婦さんに作ってもらったんだ」
相変わらずバスローブだけを羽織って、冷蔵庫からビールを取り出す尚吾さんは、いつも見ている姿とは全く違って、オレは少々面食らっていた。
「今日はもう終わりだ。明日から連休だけど、何か用事は?」
「全然ないッス」
オレ達は料理に手をつけながら明日のことを話し始める。明日と言ってももうあと数分しかないけど。
「じゃあ明日はまた夜から始めよう。寝るところは客間が俺の寝室の隣にあるからそこを使ってくれ」
「ありがとうございます」
オレは冷えたビールを飲み、また料理に手をつける。
数十分後、満腹になり、酔いも回り始めたオレは、尚吾さんに案内され、客間にいた。
「冷蔵庫にあるものとかは自由に使ってくれて構わない。俺は隣か向かい側の部屋にいるから何かあったら呼んで。おやすみ」
部屋から尚吾さんがいなくなると、オレはベッドに倒れこみ、そのまま朝まで熟睡してしまった。