第六章  手紙

「あっ・・・・・・やぁっ・・・・・・」

真佐海が完全に快楽に溺れるまで愛撫を施した統馬は、昨日とは全く違う、淫らな真佐海に見入っていた。

「真佐海さんっ・・・・・・」

名前を呼ぶ度に、体にわずかに触れる度に真佐海は無意識に内部に埋まった統馬を締め付けた。

腰に負担がかかると解かっていながら望んだお互いの顔が見えない体位に、真佐海は自分の我侭を聞いてくれた統馬に感謝していた。

自分が今にも泣き出しそうだと解っていた真佐海は、もし涙を流してしまっても、その理由を問いただされまいと顔を枕に埋めた。

「っ・・・・・・んっ・・・・・・」

泣かないようにときつく噛んでいた唇が切れ、鉄のような味が口に広がった。

それと同時に、必死で堪えていた涙が溢れ出す。

「えっ・・・・・・?・・あっ・・・・・・!」

真佐海が泣き出した途端、突然体を反転させられ、統馬と向き合う形になってしまった。

「やっ・・・・・・」

涙を見せまいと、顔だけ枕に伏せようとした真佐海の顎を引き、口内を舌で探られる。

「ふっ・・・・・・んっ・・・・・・」

名残惜しそうに銀色の細い糸を残して、唇が離れた。

「顔、やっぱり見せてください」

少し拗ねたような口調で言う統馬は、自分より五歳も年下だという事を実感させる。

それでも、好きだと感じた。

周助よりも、好きだと思った。

「泣いててもいいから。理由も聞かないから」

統馬は、全て解かっているようだった。

それでいて、特に慰めるような言葉は言わない。

それが嬉しいのに、やはり罪悪感と不安は消えない。

「好きだよ、真佐海さん」

好きだと感じているのに、まだ真佐海にはそれが伝えられなかった。

伝える事にまだ恐怖を感じていた。