ふといつもは感じない人の温もりを感じ、真佐海は重い瞼を開いた。
「・・・・・・?」
体には布団がかけられているが、その下は裸で、隣では統馬が真佐海を抱きしめるように眠っていた。
そして、身に覚えのある腰の軽い鈍痛。
「何があったんだっけ・・・・・・?」
思い出せる限りの記憶を辿って行くが、殆ど覚えていないに等しい。
しかし、この鈍痛は、過去に経験した事があった。
「俺・・・・・・やっちゃったんだ」
真佐海は自分に呆れたように深くため息をつく。
どうやら周助と話をした後、酒を飲んだ真佐海は、それが少量だったにもかかわらず酔ってしまったらしい。
覚えているのは所々で、その中に自分の痴態も混じっている。
枕元の時計を見ると時刻は深夜二時。
夜中に目が覚めたわりにはなぜかとてもすっきりとしている。
というのも、何年もこうして誰かの隣で眠るというのはなかった。
周助と別れて以来、真佐海は誰かの隣で眠る事をずっと望んでいた。
けれど、どこかで深入りしてはいけないと忠告する声が聞こえた。
これは今日だけかもしれないと思うと、真佐海の気分は一気に下がっていった。
それを追い払おうと、ベッドから降りようと体を動かすと、真佐海は統馬の腕を掴んでいた事に気がついた。
なぜかは覚えていない。
でも、離そうと思えば容易に解けるものだったのに、統馬はそのままにしてくれていた。
まるで子供のようだと真佐海は自分で思った。
快楽に溺れ、隣に人がいる事で安心している。
一生こんな風には過ごせないと思っていたのに。
「・・・・・・真佐海さん?」
「ごめん、起こした?ちょっと風呂に入ってくる」
真佐海は握っていた腕を放し、赤くなっている顔を隠すように急いでバスルームへ駆け込んだ。