あれから一ヶ月後、真佐海の体調はすっかり元に戻り、今まで通り、店を営業し続けている。


周助は仕事が立て込んでいるらしく、着替えと軽い睡眠を取りに来る程度で、統馬もバイトのシフトが急に変わったらしく、今日は一度も顔を見せていない。
 


一ヶ月前のあの夜、統馬はベッドで眠っている真佐海の隣にいたが、朝にはベッドの傍にメモと朝食が置いてあるだけで、統馬はいなかった。


真佐海はがっかりしたと同時に、告白を条件付きとはいえ、受け入れてしまった統馬と顔を合わせるのはやはり気まずかった。



「暇だな・・・・・・」


平日の午前十時となれば客の足はと絶える。


来るとすれば主婦かサボりの学生くらいだ。


暫く本を読んだり有線放送を聞いたりしていたが、誰も来る気配はなく、真佐海はホワイトボードに
『外出中、十一時には戻ります』と書いて店を出た。

第五章  安らげる場所