何度か瞬きをし、薄っすらと目を開いた真佐海に周助がおはよう、と声をかけると、真佐海はまだ寝ぼけているのか、カーテンから漏れている光から目を隠すように周助の胸へ顔を埋めた。
「ん……?」
何かに気がついたように閉じかけた重い瞳をもう一度開く。
「・・・・・・周助?」
真佐海が顔を埋めているのは間違いなく、恋人の胸。だが、その感触が、いつもとは違った。
その胸は素肌で、衣服を纏っていない。そして真佐海も、下半身は何も身に着けていなかったのだ。
「やっ・・・・・・!」
触れるか触れないかという微妙な仕草で素足を撫でられ、その手は上へ上がっていく。そして一晩中愛撫され、まだ違和感の残る蕾へと、周助は指を埋めていった。
「――ッ!」
蕾の中で少し遠慮がちに動く指に、真佐海の体は快楽で小刻みに震える。
それと同時に、腰に鈍い痛みが走って、目をきつく閉じた。
「体、辛いか?」
昨夜の事を考えると、相当辛いのではないかという考えが一瞬、周助の脳裏を過ぎった。
「少し、痛いだけだから・・・・・・」
真佐海は、今自分が断れば、周助は二度と自分を抱いてくれなくなるのではと不安でしかたがなかった。
なにより真佐海が怖いのは、周助に捨てられる事だ。
だから真佐海は周助を安心させる為に大丈夫、と言うように苦笑いをした。
だが、周助はそれを無視し、真佐海の内部から指を引き抜いた。
「・・・・・・無理すんな」
昨夜は周助自身も認めるほど、羽目を外しすぎた。
そのせいか、指を挿れただけでも眉間に皺を寄せている真佐海に、それ以上はとても出来なかった。
しかし、逆に真佐海は複雑な表情をしている。
時々、真佐海は今のような表情をする。
今まで笑顔で会話をしていたのに、ほんの数分、会話が途切れると、不安そうな表情になる。
それは二人で話をしている時であったり、家族といる時であったりと、場面はさまざまだった。
真佐海を不安にさせる原因が何なのか、周助には全く見当がつかなかった。だが、それを真佐海に尋ねる事は、なぜかできなかった。
聞いてはいけないような、深刻すぎるようで。
確かに周助は真佐海が好きだ。
兄弟でも実の兄弟ではないから、同性同士という事を除けば世間一般で言われている『恋人』なりに。
もちろん、どんな深刻な事でも、周助は一緒に背負っていく覚悟もある。
そしてこれからも真佐海を手放す気はなかった。
少なくとも、この時は・・・・・・